鉄筋ラックを補助金で購入することはできるのか?

新型コロナウイルスのパンデミックが終息し、中堅・中小企業の成長を支援する投資補助金が大きな話題となっています。

これらの補助金は、特に大規模な投資(10億円以上)には利用される一方で、多くの中小企業はより小規模で活用しやすい補助金を選択する傾向にあります。

補助金を利用する際には、購入できる設備と購入できない設備を正しく見極めることが重要です。

本記事では、補助金での購入を試みたものの失敗した鉄筋ラックの事例を取り上げ、生産性向上に寄与する設備とそうでない設備の違いについて詳しく説明します。

生産性向上につながる設備とならない設備

設備投資には、生産性向上につながる設備とつながらない設備があります。

色々な解釈があると思いますが、中小企業庁の基準はどのようになっているのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

中小企業庁の定義

中小企業庁は、「生産性向上要件を満たす設備」として、以下の特徴を持つ設備を挙げています。

※参考
工業会等による証明書について

この説明を読み解くと、合致する設備には次のような特徴を持たなければなりません。

ポイント

・指標(生産効率、精度、エネルギー効率等)を持つ設備であること
・旧モデルが存在している事
・機能が年平均1%以上向上すること

業務プロセスの改善は生産性向上にはつながらない

業務プロセスの改善や顧客満足度の向上に寄与する設備は、生産性向上に直接関連しないため、補助金の対象外となることが多いです。

中小企業庁が公表している事例では、次のような例が公表されていました。

ここでのポイントは、整理整頓(5S)による業務プロセスの改善は顧客満足度の向上につながっていると紹介されている点です。

この事例では顧客のカルテを綺麗に棚に陳列し、整理整頓した取り組みが紹介されています。

この取り組みは、一見「生産性向上につながる取り組み」のように見えます。

しかしながら、中小企業庁は生産性の向上ではなく顧客満足度の向上につながっていると紹介しています。

上記で説明されている通り、指標、旧モデル、機能が年1%以上向上する、これらの要件をクリアしなければ、生産性を向上させる設備とは認められないようです。

ポイント

5Sの取組み自体は、生産性向上にはつながらないと判断される

鉄筋ラックの事例

鉄筋ラックのような設備は、ものづくり補助金をはじめとした補助金を活用して購入することがほぼ不可能です。

実際に、僕は補助金を活用して鉄筋ラックを購入しようとしましたが、購入できませんでした。

僕は大きな失敗をしましたが、これを見ている皆さんは同じ間違いをしないように注意して下さい。

鉄筋ラックについて


鉄筋ラックについての情報がネット上にほとんどなかったので、この機会に紹介しておこうと思います。

鉄筋のような長尺の重量物を格納する棚を製作してくれる会社は、ほとんどありません。

重量物専門のラック製作業者は何社かありますが、かなり割高な料金を提示してくるので注意しましょう。

「モーターなどが付随している等の明確な生産性向上機能が無い設備を補助金で購入することはできない」

経緯を簡単に説明します。

経緯

・ものづくり補助金に応募し、機械の購入と同時に鉄筋ラックを購入する事業計画書を提出。採択される。
・交付申請時に、「鉄筋ラックは生産性の向上策とはならない」と事業計画を強制的に修正・減額させられる。
・「生産ラインの効率化」「課題となるミスの減少に不可欠」と説明しても、交付決定が受けられない。
・「鉄筋ラックのような、モーターなどが付随している等の明確な生産性向上機能が無い設備を補助金で購入することはできない」とはっきり却下される。

まとめ

中小企業庁は、生産性向上要件を満たす設備を明確に定義しています。

補助金を申請する際は、計画の段階で補助金の基準を十分に理解し、適切な設備の選定が求められるので、注意して下さい。

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