【鉄筋工事】腰壁の台直し作業とつなぎ作業【コンクリ打設前】

S造の腰壁の配筋作業には台直しやつなぎ作業が伴います。

台直しやつなぎ作業は非常に時間がかかる作業であり、施工管理者や設計者は鉄筋工事業者のこの作業の大変さを理解しておく必要があると思います。

この記事では腰壁の基本知識と腰壁の施工に伴う台直しやつなぎ作業について解説していきます。

壁とは?


腰壁についての基本知識をおさえて置きましょう。

壁とは一般的には耐震壁を指す


参考:配筋指針

鉄筋工事における壁とは耐震壁をさします。

耐震壁は柱や梁などの構造体に適切な定着長さを確保することで一体化することが必要です。

適切な一体式構造にするためには、原則として柱や梁の内部には壁の重ね継手を設けないといった指針も存在しています。

ポイント

壁は一体式構造における耐震壁のこと

腰壁は雑工事の一種で落下防止、防水対策、納まりなどたくさんの役割を持つ

腰壁は壁の名前がついていますが、鉄筋工事では雑工事として扱われることが一般的です。

一般的な耐震壁のように柱や梁と一体化している高さの高いものではなく、地中梁やスラブに定着しており、高さが1000mm程度の低いものを一般的に腰壁と呼びます。

腰壁の役割は落下防止や防水対策、他の材料との納まりのために設置するなど、たくさんあります。

似たような構造にパラペットがあります。

パラペットの場合は図のように返し(アゴ)が付いており落下防止に特化した構造になっています。

腰壁の縦筋は地中梁への差し筋

S造基礎の場合、1F部分の腰壁の縦筋は地中梁へ差し筋を行い適切な定着を確保します。

工事中にこの腰壁の縦筋が体に刺さってけがをする労災事例がたくさんあるため、最近では縦筋はフック付きのものにすることが多いです。

厚労省 職場の安全サイト 労働災害事例

柱回りは差し筋ができないので後日配筋作業が必要になる

S造の場合は、鉄骨の柱回りは縦筋の差し筋をすることができないので、柱回りだけ腰壁の鉄筋が無いことが多々発生します。

一度の作業ですべての作業工程を終了させることができれば理想ですが、工事現場では複数の工事業者が輻輳作業するのでなかなか効率よく作業するのが難しいのが現状です。

腰壁の台直し作業

腰壁について基本が理解できたところで、差し筋の台直し作業について見ていきましょう。

台直しとはコンクリート打設に際して柱筋や壁筋の位置の位置のズレを修正する作業

1Fの腰壁の差し筋は地中梁から適切な定着長さを取ります。

この差し筋はコンクリート打設の際では打設作業の邪魔になってしまうため、差し筋を曲げて通路を確保することが多々あります。

縦筋が曲がってしまうと適切なかぶりを確保することができない為、曲がってしまった縦筋を修復する作業が必要になります。

この作業を台直し作業といいます。

すべての縦筋を棒ハッカーで直す必要がある

曲がってしまった鉄筋を元に戻す作業は非常に面倒な作業です。

実際にやってみるとわかりますが、たとえD10の鉄筋であっても棒ハッカーで台直しする作業は大変な作業です。

適切なかぶりを確保するには5本おきに縦筋を直しても適切に直らないことが多く、全ての縦筋を直さなければならないことがほとんどです。

腰壁のつなぎ作業

S造の場合は鉄骨の柱回りには縦筋の差し筋をすることができません。

その為、柱回りに別途配筋する作業が必要になってきます。

鉄骨の柱の裏側はMAX結束機が入らない、鉄筋を切断する作業が多い

腰壁のつなぎ作業とは、柱回りに腰壁の配筋をすることをいいます。

この作業は非常に大変な作業で、思った以上の人工がかかります。

体感だと100kg/人工付けば良い方だと思います。

画像のように片方の型枠の建て込みがされている場合はMAX鉄筋結束機を使って結束することができないので、ハッカーを使って手作業で結束する必要があります。

鉄筋の縦筋や横筋の長さの調整のため、頻繁に鉄筋を切断しなければならないので非常に時間がかかる作業になります。

このような作業の効率を上げるために綿密な打ち合わせを実施してスケジュール管理することが施工管理者の腕の見せ所でしょう。

まとめ

この記事では腰壁の基本知識と腰壁の施工に伴う台直しやつなぎ作業について説明しました。

台直しやつなぎ作業は人工のかかる面倒な作業です。

特に型枠の建て込みが進行している際のつなぎ作業は思うように作業が進みません。

作業の効率を上げるために綿密な打ち合わせとスケジュール管理が重要になります。