【建設業】インボイス制度の対応策【3年間は2割特例】

建設業の個人事業主の方で、まだインボイス制度に登録していない方も多いのではないでしょうか?

インボイス制度には3年間の2割特例期間があるので、この特例を使用する事業者の方もいるはずです。

この記事では、建設業界におけるインボイス制度の対応策について考察します。

なぜ増税が続くのか?

岸田総理の提唱する新しい資本主義とは、ペーパーアセットを所持していない者が損をするというのが1つのポイントになっています。

岸田内閣主要政策

大変ご立派な考えですが、その反動でインボイス制度をはじめ、多くの分野での増税が今後予定されています。

新NISAの反動であらゆる税率が上昇する

少子高齢化が進行すると、年金制度において支給する年金の維持が難しくなります。

このため、個人が自己責任で老後資金を積み立てることが重要とされ、NISAなどの個人型の年金制度が導入されています。

NISAを通じて、個人は税制優遇を受けながら、自身の老後の生活資金を積み立てることができます。

これにより、将来の年金不足を一部補完することが期待されています。

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今までのNISAの非課税保有限度額は、つみたてNISAで800万円、一般NISAで600万円でしたが、新NISAでは1,800万円まで非課税保有限度が拡充されます。

国からこんな非課税の大ボーナスが用意されるということは、当然、その他の税率が上昇していくことは必須でしょう。

消費税が15%、20%になるのも時間の問題

最近の経済の動向からみても、消費税が15%から20%に引き上げられるのは時間の問題と言えるでしょう。

国の財政状況や社会保障制度の維持に対する圧力が高まっていることを考えれば、将来的な税制改革は不可避と言えます。

このような変化に備えて、個人や企業は賢明な財政計画を立てる必要があるかもしれません。

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建設業のインボイスへの対応案

熟練技能者の中には、個人事業主として活動している方も多くいると思います。

そのような方々の中には、インボイス制度によって苦しい状況になる方もいるでしょう。

インボイス制度が決まってしまった以上、なんとかして対応する必要があります。

ここでは、インボイスの対応策を考えてみます。

とりあえず2割特例で3年間耐える

インボイス制度には、3年間の2割特例が設けられています。

例えば、売上高が800万の事業者であれば、通常80万円の納税が必要なところ、80万*20%=16万円で良い、というものです。

建設業は深刻な人材不足であり、厳しい指値で単価も上昇しにくいのが現状です。

このような状況で、いきなり10%の消費税預り金分の納税をするのは厳しいというのが、対象事業者の本音でしょう。

元請け事業者に相談し、3年間の2割特例の期間を利用して、企業や関係者は新しい税制度に適応するための戦略を練り、スムーズな移行を図るべきでしょう。

3年間という猶予期間は、業界全体が制度変更に適応し、不測のリスクを最小限に抑えるための貴重な機会となります。

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借入を行い不動産を購入し、外国人実習生の宿舎として利用することでプラスのキャッシュフローを確保

建設業事業者の1つの王道の多角化戦略として、不動産投資があります。

不動産投資を検討中の方にとって、税金の効果的な活用と借入による資金調達は重要な要素です。

納税による優遇措置を活かし、資金を借り入れて不動産を購入することで、外国人実習生の宿舎として利用することがプラスのキャッシュフローを確保する一つの手段となります。

外国人実習生の需要が高まる現在、宿泊施設は安定した収益を期待できます。

また、適切な税務戦略を立てれば、納税にかかる負担を最小限に抑えつつ、収益を最大化できます。

このような戦略的な不動産投資は、将来の経済的な安定とキャッシュフローの増加に寄与する可能性が高いです。

1000万円以上の工事を請け負う

鉄筋工事におけるプロジェクトが1000万円以上に及ぶ場合、効率的な施工と質の高い成果物を提供するために、外国人労働者の活用が一つの選択肢となるでしょう。

鉄筋工事の請負価格でいえば、年間で約50tの請負をすれば売上高は1000万以上になります。

50tの鉄筋工事を1、2人で請け負うのは厳しいかもしれませんが、材料の小運搬や鉄筋の結束作業を外国人人材に任せることができれば受注できる可能性が高まります。

機械は補助金、賃上げは助成金で対応

鉄筋の結束作業などの単純作業において、効率を向上させるためには適切な機器の導入が不可欠です。

その際、補助金制度を利用することは非常に有益です。

補助金制度を活用することで、必要な機器や設備の購入・導入にかかる費用を軽減できます。

これにより、作業の生産性向上、労力軽減、および作業の品質向上が期待できます。

また、従業員への賃金を引き上げる際、助成金の活用が有益な方法となります。

助成金を活用することで、企業は経済的な負担を軽減しつつ、従業員への公正な報酬を提供することができます。

いまや最低賃金で働く日本人はほとんどいないと思いますが、物価差が大きい外国人の方であれば、最低賃金での労働にもまだまだ十分需要があります。

まとめ

この記事では、建設業におけるインボイス制度の対応を考察しました。

建設業では、人材不足と低単価に加えて増税が大きな足かせになりつつあります。

2割特例を利用しながら戦略的に大増税時代を乗り切る必要があるでしょう。