小沢一郎氏が起訴された「陸山会事件」とは?

小沢一郎氏が率いる「陸山会」が土地を購入をし、小沢氏自身の蓄財疑惑に繋がった「陸山会事件(りくざんかいじけん)」をご存知でしょうか。

陸山会は小沢の資金管理団体であるものの、平成16年(2004年)10月、東京都世田谷区に4億円で購入した土地から、さまざまな問題や疑惑へと波及していった事件です。

この事件では4億円というお金の流れや、政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたことなど、政治資金規正法違反として東京地検特捜部が、捜査を進めていった経緯があります。

本稿では過去に起きた「陸山会事件」という、当時マスコミや紙面で世間を騒がせた事件を振り返ります。

大きく動き始めたのは『週刊現代』の報道

引用:アクセスジャーナル

この事件が大きく動き出したのは、2006年6月3日に発売された講談社の『週刊現代』にて、“調査報道スクープ!! 小沢一郎の”隠し資産6億円超”を暴く”という見出しで報道されたことです。

ここで報道された内容は、陸山会が所有している不動産登記の所有者が全て小沢氏になっていること、さらに小沢氏が持つ個人資産と政治資金との区別が不明瞭になっていることを批判するものでした。

計10戸におよぶ不動産への指摘

週刊現代で指摘された不動産は全部で10件です。

      1. 元赤坂タワーズ(1994年11月25日)
      2. グランアクス麴町(1994年11月25日)
      3. プライム赤坂(1994年12月22日)
      4. ライオンズマンション赤坂志津林(1994年12月22日)
      5. チュリス赤坂(1995年1月25日)
      6. クレアール赤坂(1999年3月4日)
      7. デュオ・スカーラ赤坂(2001年1月8日)
      8. ラ・セーナ南青山(2001年12月11日)
      9. グランステイツ勾当台公園(2003年3月25日)
      10. ジェネラス開運橋(2003年3月31日)

1994~2003年の間に購入された不動産がピックアップされ、その費用は総額で6億1,131万円にもおよびます。

これらいずれの物件の不動産登記が全て小沢氏の名前で登録されているというのです。

また、このほかにも陸山会が購入している不動産が幾つかあるようでした。

『週刊現代』の報道は民事裁判に…

講談社側の記事によって世間を騒がせたことは、小沢氏の政治的なイニシアティブを大きく揺れ動かすことになりました。

これにより小沢氏および民主党は、紙面の報道によって名誉を傷つけられたとして名誉毀損を訴えたのです。

そして講談社と編集者に損害賠償などを求める訴訟に発展しました。

東京高等裁判所の判決により、小沢氏が敗訴

週刊誌の報道では「陸山会購入の不動産が、小沢氏の事実上の隠し資産なのではないか?」という疑惑でしたが、小沢氏側がこれを否認。

小沢氏側は「政治団体の不動産登記は認められていないため、個人名による登記で行われることになっている」と主張していました。

東京高等裁判所は2008年6月4日に“政治団体の運営については第三者が知る機会も保証されておらず、不動産登記の権利能力がない社団など、その実態は不明瞭”として、小沢氏側の主張を退けることに。

そして、小沢氏側はこれに対して上告しなかったため敗訴になりました。

「陸山会事件」はやがて「西松建設事件」や「偽装献金事件」に

引用:しんぶん赤旗|日本共産党

陸山会が世田谷区の土地を購入したことで明るみになった「陸山会事件」。

2008年6月の判決からおよそ1年と5ヶ月後に市民団体が、同事件の政治資金規正法違反容疑で小沢氏の秘書を3人を告発しました。

さらにダミー政治団体を経由した資金の流れなどが発覚し、そこに関わっていた西松建設本社への家宅捜索がも始まったのです。

西松建設社長の國澤幹雄と幹部1人が政治資金規正法違反によって逮捕され、2009年3月3日に小沢氏の秘書を務めていた大久保隆規と他1名の秘書も逮捕。

この事件は西松建設のOBを代表としたダミー政治団体を通じ、小沢氏などの大物政治家に違法献金が行われた「西松建設事件」に繋がっていたのでした。

市民団体は小沢氏に対しても政治資金規正法違反容疑で告発

引用:時事ドットコム

結果的に市民団体は小沢氏の秘書3人と小沢氏自身を起訴することになりました。

また、起訴状では20億円に超す莫大な虚偽記載について記載しており、虚偽記載罪では過去最大の金額になったようです。

秘書の1人大久保隆規は、ダミー政治団体からの3500万円を西松建設からの献金と知りながら寄付を装ったこと、それを陸山会の収支報告書に記載するという罪で起訴された一方、小沢氏は嫌疑不十分による不起訴処分に。

その後、市民団体は不服申し立てを行ったものの幾度も不起訴になっています。

まとめ

「陸山会事件」は長らく小沢一郎氏のスキャンダルとして、政治活動の歴史に爪痕を残す事件になりました。

また、政界と建設業界の結びつきは強く、「西松建設事件」を筆頭にさまざまな事件が過去に起きています。

巨額の富が裏で取り引きされるのは今の時代に限ったことではありません。

しかし、建設業界には悪しき風習とされるものが今でも根付いており、国土交通省は元請負人と下請負人間における建設業法令遵守ガイドラインを設けています。

大手ゼネコンでもこのような違法取り引きの動きを完全になくそうと、安全衛生協議会にて協力会社と一丸になって撲滅運動キャンペーンを実施。

駆け込みホットラインも開設されているので、身に覚えがありましたら下記まで相談をしてみることをおすすめいたします。

【建設業法違反通報窓口「駆け込みホットライン」】

TEL:0570-018-240