建設業向けCADソフト(AutoCADと互換性あり)おすすめ6選

ものづくりの分野において、トップシェアを取り続けるCADソフトは、「Autodesk(オートデスク)」社がリリースする主力製品「AutoCAD(オートキャド)」

建築・土木から機械の部品設計まで、あらゆる分野で活躍しているソフトウェアです。

昨今ではIT技術の目覚しい進歩と発展によって、BIMの構造設計が主流になってきた建設業界の設計事情。

ですが、そんな令和の時代になっても建設業の現場で使われているのはまだまだ二次元汎用CADソフトです。

また、手元に資産として残りづらいAutodesk製品よりも、永久ライセンス版のCADソフトのニーズは高い傾向にあります。

今回紹介するのはAutoCADと高い互換性を持つCADソフト6種類です。

どの製品も良し悪しはありますが、業務のニーズに適した選び方をするのが最も有効的に活用できる方法です。

それぞれの製品が持つ特徴や価格などを解説しながらご紹介していきます。

「AutoCAD」に互換性があるCADソフトの需要について

三~四次下請けと多重構造になりるのが伝統的な建設業界では、書類の様式から取り扱う情報、データ拡張子など、極力フォーマットの統一化を行い、業務効率を少しでも上げる工夫をしているのが一般的です。

ゼネコン側がAutoCADを使用している場合、その協力会社もAutoCADを標準で使用しているケースが多く見られます。

しかし、価格が高価な上に専門性の高い操作など、全体的な敷居の高さが問題になっています。

また、昨今の‟人手不足”といわれる建設業界では、就労している年齢層も高い傾向にあり、就労者のITリテラシーの低さは否めません。

そのため、CADオペレーターというCADソフトそのものに、ある程度の知識を保有する職種には需要があります。

しかも、規模の小さな工務店や中小企業では、サブスクリプションという年単位保守契約のライセンス契約より、永久ライセンス版の買い切り型が好まれているのです。

結果的に、無料で使えて誰でも技能の取得が容易な「JW-CAD(ジェイダブリューキャド)」のフリーソフトウェアや、「DWG」「DXF」拡張子との互換性を持つ、安価なCADソフトを採用している企業も多くみられます。

さらに、買い切り方の古いバージョンのAutoCADも根強い人気があります。

このような業界の実情などが起因し、「autocad」に関係した検索結果をみると、上記のようなキーワードが検索されやすく、‟AutoCADと互換性のあるフリーソフト”を探しているユーザーは多くいるのが分かります。

CADソフトを選ぶ基準

CADソフトの選び方は主に下記つのポイントを前提に、慎重に選ぶのが大切です。

  1. 建設業・製造業どちらの業界か
  2. 納品先はどのようなファイル拡張子を欲しがるか(DWG、DXF、JWWなど)
  3. 年間保守契約ライセンス(サブスクリプション契約)か、永久ライセンスのどちらがニーズに合うのか
  4. AutoCADライクなユーザーインタフェース(画面のツールバー表示など)か、独自のものか

建設業と製造業ではCADソフトに求める部分の大枠は同じでも、細部で異なるニーズが出てきます。

ファイル拡張子は変換して受け渡すことがほとんどですが、どのソフトウェアでも「DWF」変換で読み込めるケースは多いでしょう。

しかし、変換後のデータの再現性はCADソフトによって異なることもあります。

ユーザーインタフェースや操作性、主にAutoCADとの共通点が多ければ、AutoCADユーザーは比較的楽に移行できるメリットがあり、その逆も然りです。

契約の部分についても法人か個人によって、大きな違いが出るのは明白ですが、契約内容にどのようなサポートがあるのかで価格以上の価値を感じられるかもしれません。

まずは体験版を実際に使用し、パソコン上の動作と変換できる拡張子や機能の多さをチェックしておくのがおすすめです。

CADソフトはどのように購入するべきか?購入方法の徹底比較!

CADソフトを購入する際、どこで購入するのが良いのでしょう?

CADソフトは法人・個人事業主向けのソフトウェアであるため、購入ルートは通常のソフトウェアに比べてやや特殊かもしれません。

もちろん、個人的に購入することも可能です。具体的な購入先は下記に挙げられます。

購入先 価格 品揃え 特徴
ネット通販(Amazonなど) 安価 少ない 国産CADソフト多め
公式サイト 定価 個人・法人共にシンプルなサポート体制
専門代理店(CAD Japan.com、CAD百貨など) やや安価 非常に豊富 取り扱い製品の圧倒的な種類
商社(大塚商会など) やや安価 豊富 非常に豊富
フリーマーケット(中古品など) 非常に安価 少ない~普通 非常に豊富

「ネット通販」で購入する場合はAmazonなどが代表的です。代理店や商社を通さず、いつも通りインターネットショッピングをする感覚で手軽に購入できるのが魅力でしょう。ディスク認証が多い国産CADソフトを購入する場合、最も手軽な購入先です。

「公式サイト」は個人・法人を問わず、購入からチュートリアル、トラブルシューティングまで一貫して完結しているのが特徴です。直に購入しているため、サポートはすべて公式に問い合わせることで完結できます。

「専門代理店」では、国内外のさまざまなCADソフトを取り扱っており、非常に数が豊富です。顧客のニーズに合わせた製品を紹介してくれるのも心強いポイントです。

「商社」はCADソフト以外の製品も取り扱いますが、トレーニング研修や購入時の負担を下げられるサービスがあります。色々と融通が利きやすいので、法人は基本的に商社から購入することがほとんどではないでしょうか。

「フリーマーケット」では中古品や、数年前の旧バージョンが個人間取り引きされています。価格も非常に安価ですが、サポートはあまり期待できず、購入先とのトラブルも考えられるので、購入側の自己責任になります。

「AutoCAD」と互換性のあるおすすめCADソフト6選

【CADソフト①】「DraftSight(ドラフトサイト)」

画像引用:DraftSight – ダッソー・システムズ

「DraftSight(ドラフトサイト)」は、AutoCADとほとんど同一の操作性でありながら、導入時のコストが安いメリットがあります。

3D機能などを同梱したフルパッケージ版「DraftSight Premium」でも、年間当たりの費用はAutoCADの4分1程度です。パソコンの動作環境も軽く、ゼネコン側で導入しているケースも多くみられるソフトウェアです。

【サブスクリプション】

  • 「DraftSight Standard」¥10,900円/年(税抜き)
  • 「DraftSight Professiona」¥21,900円/年(税抜き)
  • 「DraftSight Standard」¥54,900円/年(税抜き)

※ 2020年9月調べ

【CADソフト②】「IJCAD(アイジェイキャド)」

画像引用:AutoCAD(オートキャド)と高い互換性のCAD IJCAD

インテリジャパン株式会社がリリースしている、国産CADソフト「IJCAD(アイジェイキャド)」は、AutoCADとの高い互換性を実現しつつも、フリーソフトウェアのJW-CADとの互換性があります。

こちらの製品は永久ライセンスのスタンドアロン版もリリース。

AutoCADライクな操作性と、国産ソフトウェアという安心感から、販売実績を伸ばし続けており、幅広いニーズに応えることができるさまざまなパッケージが用意されています。

【永久ライセンス】

  • 「IJCAD 2020 LT」¥55,000円(スタンドアロン版)
    ¥70,000円(USB版・ネットワーク版)
  • 「IJCAD 2020 STD」¥75,000円(スタンドアロン版)
    ¥90,000円(USB版・ネットワーク版)
  • 「IJCAD 2020 PRO」¥100,000円(スタンドアロン版)
    ¥120,000円(USB版・ネットワーク版)

サブスクリプション

  • 「IJCAD 2020 LT」¥13,750円/年(スタンドアロン版)
    ¥17,500円/年(USB版・ネットワーク版)
  • 「IJCAD 2020 STD」¥13,750円/年(スタンドアロン版)
    ¥22,500円/年(USB版・ネットワーク版)
  • 「IJCAD 2020 PRO」¥13,750円/年(スタンドアロン版)
    ¥30,000円/年(USB版・ネットワーク版)

※ 2020年9月調べ

【CADソフト③】「Bricscad(ブリックスキャド)」

画像引用:BRICSCAD – .dwg 互換対応 2D/3D 統合CAD:図研アルファテック株式会社

「Bricscad(ブリックスキャド」は、2D-3D-BIMを一つのソフトで運用できてしまう高機能なCADソフトです。

ベルギー生まれのCADソフトですが、AutoCADで使用される「DWG」ファイルで、2D、3D、BIMまで一貫して設計できます。

個別ソフトウェアを媒介することで発生しやすい、レイアウトやパーツの損失も抑えられる上に業務効率が格段に向上することでしょう。また、永久ライセンス版も存在しており、用途に合わせて6種類のパッケージから選べるのが嬉しいポイントです。

【永久ライセンス】

  • 「Bricscad Classic」¥69,000円(スタンドアロン版)
    ¥134,550円(ネットワーク版)
  • 「Bricscad Pro」¥95,000円(スタンドアロン版)
    ¥185,250円(ネットワーク版)
  • 「Bricscad Platinum」¥140,000円(スタンドアロン版)
    ¥273,000円(ネットワーク版)
  • 「Bricscad BIM」¥205,000円(スタンドアロン版)
    ¥399,750円(ネットワーク版)
  • 「Bricscad Mechanical」¥195,000円(スタンドアロン版)
    ¥380,250円(ネットワーク版)
  • 「Bricscad Ultimate」¥226,000円(スタンドアロン版)
    ¥440,700円(ネットワーク版)

※ 2020年9月調べ

【CADソフト④】「CorelCAD(コーレルキャド)」

画像引用:3D 図面、設計、印刷が可能な CAD ソフトウェア – CorelCAD 2020

機械設計から建築図面まで、軽い動作とスタイリッシュなインターフェースが特徴的な「CorelCAD(コーレルキャド)」です。

AutoCADやDraftSighrと非常に近いユーザーインターフェースと操作性で、価格も入手しやすいのが特徴です。また、モバイル版アプリの「CorelCAD Mobile(コーレルキャド・モバイル)」との連帯も可能。

並行輸入品を安価に購入し、日本語テキストでダウンロードするという裏技が使えるソフトウェアでもあり、個人で購入されるユーザーが非常に多いです。永久ライセンス版が主なので、AutoCADユーザーがこちらに乗り換えるケースも散見されます。

最大の特徴は当製品の購入で、同社のペイントソフトなど、お得な特典があることです。

【永久ライセンス】

  • 「CorelCAD 2020」¥69,000円(スタンドアロン版)
    ¥33,048円(アップグレード版)

※ 2020年9月調べ

【CADソフト⑤】「ZWCAD」

画像引用:AutoCAD互換のコストパフォーマンスの高いCADソフトーZWCA

「ZWCAD」は中国に本社を置くZWSOFTが開発しているソフトウェアです。

開発コストを大きく抑え、AutoCADとの互換性をより意識したCADソフトでもあります。

また、AutoCAD 2015版からなくなってしまったクラシックメニューに近いインターフェースを持ち、長年に渡ってAutoCADを使用し続けていたユーザーへのアプローチに積極的です。

実際に世界の15ヶ国語に対応し、既存AutoCADユーザーからの移行先として候補に挙がりやすいソフトウェアでしょう。

導入しやすく、柔軟性に富んだ業務を実現する高いコストパフォーマンスと、他社クラウドサービスとのコラボレーション、グローバルに展開できる多様性など、中国製品に見られる良さが随所にあります。

【永久ライセンス】

  • 「ZWCAD Std」¥88,000円(スタンドアロン版)
    ¥25,000円(アップグレード版)
  • 「ZWCAD Std」¥92,000円(スタンドアロン版)
    ¥25,000円(アップグレード版)
  • 「ZWCAD Pro」¥118,000円(スタンドアロン版)
    ¥30,000円(アップグレード版)
  • 「ZWCAD Pro」¥122,000円(スタンドアロン版)
    ¥30,000円(アップグレード版)

※ 2020年9月調べ

【CADソフト⑥】「ARES (アレス)」


画像引用:ARES JP Graebert Japan Official Home Page

「ARES (アレス)」は、2018年12月にサポートが終了した「JDraf(ジェイドラフ)」に代わるソフトウェアです。

AutoCAD互換のCADソフトを探している人ならJDrafの名前自体は耳にしたことがあるかもしれません。ARES は「DWG」のほか「JWW」「SXF」に対応し、モバイル版との連携で柔軟な設計業務をサポートします。

3Dなどのソリッドモデルの作成機能を求めなければ、個人で購入できるAutoCADライクなソフトウェアとして優秀です。

【永久ライセンス】

  • 「ARES Standard」¥48,000円(スタンドアロン版)
    ¥59,500円(ネットワーク版)
  • 「ARES Commander」¥82,000(スタンドアロン版)
    ¥102,500円(ネットワーク版)

【サブスクリプション】

  • 「ARES Standard(2年目以降)」¥10,000円(スタンドアロン版)
    ¥12,500円(ネットワーク版)
  • 「ARES Commander」¥15,000(スタンドアロン版)
    ¥18,750円(ネットワーク版)

まとめ

設計業界で未だにトップクラスのシェアを持つAutoCADですが、導入コストの高さや、度重なるバージョンアップによるユーザーインタフェースの変更といった障壁が、取得難易とその敷居を上げています。

個人の方や中小企業では、”AutoCADが使いこなせない”或いは”永久ライセンスへの拘り”相対的にコスト面で優れるサブスクリプションも、昨今のエンターテインメントの影響で、少しずつ広がりを見せています。

高価なCADソフトも少しずつ手に取りやすくなり、在宅ワークの推進により、CADオペレーターの需要も波及していくと思います。

今回の記事が少しでも参考になれたのなら、これほど嬉しいことはありません。

どのソフトウェアもより導入しやすく、扱いやすくなっていくと考えています。

今一度、業務のニーズに合った製品なのか費用対効果を見直すのも良いのではないでしょうか。

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