【自力で申請】65歳超雇用推進助成金の申請について

企業が、定年を65歳以上に引き上げると、国から最大160万円が助成されることをご存じでしょうか。

高齢者の雇用期間を延ばそうとしている企業にとってはありがたい助成金制度です。

今回は、65歳超雇用推進助成金を自力で申請するポイントについて見ていきましょう。

目次

助成金について

まず、助成金について基本的なところから確認しましょう。

申請すれば受給できるが、予算に上限がある

助成金は適切に申請を行えば、受給が可能です。

しかし、助成金の予算には上限があるので、人気の助成金はすぐに予算に達してしまい、申請したかったのに受給できないケースもあります。

例えば、テレワーク助成金です。

新型コロナウィルス感染症の影響により、国はテレワークの推進をしています。

テレワークを普及させるための策がテレワーク助成金です。

企業当たり最大200万円の助成金が受給できるということで申請が殺到しました。

厚生労働省/働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

このように、上限金額が多く汎用性が高い助成金はすぐに上限金額に達してしまう場合があるので注意が必要です。

最新情報は厚労省のHPから確認しよう

テレワーク助成金以外にも国はたくさんの助成金を用意してくれています。

最新情報は厚労省のHPで必ず確認しましょう。

厚労省HP

複雑で申請に時間がかかる!しかし、自力でも十分可能


助成金の申請には非常に時間がかかるため、途中で申請をあきらめてしまう事業者も多数います。

パソコンでの入力作業が苦手な事業者は、少し困難かもしれません。その場合は、手数料を支払って社労士の方に相談するのも一つの手です。

しかしながら、自力でも十分申請は可能です。

自力で申請する際は、近くのハローワークに相談するのが一番良いでしょう。

ポイント

自力で申請する際は、ハローワークに相談する!

ハローワークはとても丁寧に対応してくれる

65歳超雇用推進助成金について

就労人口が少なくなってきている日本では、高齢者は貴重な労働力になっています。現在雇用している高齢者の定年年齢をさらに65歳以上に引き上げたり、高齢者が働く環境を改善すると、国から助成金が出ます。

意欲と能力がある高年齢者が年にかかわりなく働ける社会にするため、「高年齢者が年齢に関わりなく働ける職場づくり」に取り組む事業主を支援しているからです。

定年を5歳以上延ばし対象者が10人いる場合が最大で160万円助成されます。

65歳超雇用推進助成金の3コース

この65歳超雇用推進助成金には、目的別に次の3つのコースが整備されています。

  1. 65歳超継続雇用促進コース
  2. 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
  3. 高年齢者無期雇用転換コース

各コースの概要は、

65歳超継続雇用促進コース概要

次のいずれかを導入した事業主に対して助成するコースです。

  • 65歳以上への定年引上げた
  • 定年の定めを廃止した
  • 希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入した

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース概要

本コースは、高年齢者を雇用する機会を増大するために、次に示す取り組みを実施した企業を助成します。

  • 高年齢者の職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入、または改善した
  • 高年齢者の希望に応じて短時間勤務制度や隔日勤務制度の導入、または改善した
  • 高年齢者が能力を発揮して働けるために必要な知識を付与するため、研修制度の導入または改善した
  • 法定外の健康管理制度を導入した

高年齢者無期雇用転換コース概要

50歳以上でかつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた企業に対して助成するコースです。

65歳超雇用推進助成金の企業の受給要件

各コースを受給する企業は、次に示す要件を満たしている必要があります。

65歳超継続雇用促進コースの企業の受給要件

本コースの主な企業の要件をいかに示します。ただし、1企業が受給できるのは1回限りなので注意しましょう。

(1)労働協約または就業規則について、次のどれかを実施した企業

  • 65歳以上への定年引上げを実施した
  • 定年を廃止した
  • 希望する者全員を、66歳以上まで雇用する継続雇用制度を導入した

(1)の制度を作成した際にすること

  • 経費を要したこと。
  • 新制度の労働協約または就業規則を整備していること。
  • 高年齢者雇用推進員の選任および高年齢者雇用管理に関する措置を実施したこと。
  • 制度の実施日の1年前の日から支給申請日までの間に、高年齢者雇用安定法の規定に違反していないこと。
  • 支給日の前日までに1年以上雇用されている60歳以上の高齢者が1人以上いること。

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの企業の受給要件

企業が雇用管理整備計画の認定実施をした場合に雇用管理改善コースで受給することができます。

(1)雇用管理整備計画の認定を受ける

「雇用管理整備計画」の中では、次に示すいずれかの取り組みを策定しなければなりません。

  • 高年齢者に対する能力開発、能力評価、賃金体系、労働時間の見直しまたは導入よって雇用機会を増大させること。
  • 医師または歯科医師による健康診断を実施する制度を導入すること。

(2)高年齢者雇用管理整備の実施

雇用管理整備計画を実施する間に、高年齢者雇用管理整備を実施していること。

高年齢者無期雇用転換コースの企業の受給要件

本コースは、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者への転換した場合に受給することができます。それには、無期雇用転換についての認定・実施が必要です。

(1)無期雇用転換計画の認定

無期雇用転換計画を作成して、その認定を受けること。

(2)無期雇用転換措置の実施

無期雇用転換計画に基づき、計画を実施している期間中に、高年齢の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換している。

65歳超雇用推進助成金の支給額

助成金各コースの支給額は、次のようになります。

65歳超継続雇用促進コースの支給額

本コースの支給は、労働協約または就業規則により実施の内容や、定年の引上げ幅、60歳以上の雇用保険の被保険者数によって支給額は変わります。

65歳への定年引上げ

被保険者数 5歳未満引上げ 5歳引上げ
1~2人 10万円 15万円
3~9人 25万円 100万円
10人以上 30万円 150万円

66歳以上の定年引上げ

被保険者数 5歳未満引上げ 5歳引上げ
1~2人 15万円 20万円
3~9人 30万円 120万円
10人以上 35万円 160万円

定年の廃止

被保険者数 定年の廃止
1~2人 20万円
3~9人 120万円
10人以上 160万円

66歳~69歳への継続雇用の引上げ

被保険者数 4歳未満引上げ 4歳引上げ
1~2人 5万円 10万円
3~9人 15万円 60万円
10人以上 20万円 80万円

70歳以上への継続雇用の引上げ

被保険者数 5歳未満引上げ 5歳以上引上げ
1~2人 10万円 15万円
3~9人 20万円 80万円
10人以上 25万円 100万円

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの支給額

本コースの支給額は、雇用管理整備計画を実施している期間中、雇用管理制度の見直しのために要した支給経費に60%(大企業は45%)を乗じた額が助成されます。

生産性要件を満たした企業については、雇用管理整備計画を実施している期間中、雇用管理制度の見直しのために要した支給経費に75%(大企業は60%)を乗じた額が受給できます。

ここで、支給経費とは、雇用管理制度の導入または見直しに必要な専門家に対する委託費やコンサルタントとの相談に使った経費で、初回のみ30万円とします。2度目以降の申請に対しては、30万円が上限です。

生産性要件について

助成金を申請する企業において、生産性要件算定シート を用いて計算された生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合、助成が割増されます。

生産性要件算定シート:厚生労働省

高年齢者無期雇用転換コースの支給額

本コースは、企業が無期雇用転換計画している間、無期雇用労働者に転換した雇用者1人につき48万円(大企業は38万円)が支給されます。

生産性要件を満たした企業については、対象労働者1人につき60万円(中小企業以外は48万円)が受給されます。

ただし、支給申請年度における対象労働者の人数の合計は、転換した日から1適用事業所あたり10人までです。

65歳超雇用推進助成金の支給までの流れ

各コースの支給までの流れは、次のようになります。

65歳超継続雇用促進コースの流れ

  1. 企業は、高齢・障害・求職者支援機構に支給申請を提出します。
  2. 機構から決定通知を受け、受給します。

このコースでは計画書の提出、認定の手続きはありません。

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース・高年齢者無期雇用転換コースの流れ

  1. 企業は、高齢・障害・求職者支援機構に計画書を提出し認定を受けます。
  2. 機構に支給申請書を提出します。
  3. 機構から決定通知を受け、受給します。

まとめ

65歳超雇用推進助成金は、目的別に次の3コースが整備されています。

  • 65歳超継続雇用促進
  • 高年齢者の雇用管理制度の整備等を実施。
  • 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換

65歳超の高齢者を雇用を始めるときは、65歳超雇用推進助成金を活用すると効率的に実施できます。

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