建設業の利益の上げ方【利益率の推移から徹底検証】

『建設業の利益ってどれくらいが平均なの?』『利益ってどうやって上げるのだろうか』と悩んでいませんか?

この記事では、そんな悩みを持っている方に向けて、利益率とは何か、建設業の利益率の目安はどれくらいか、近年の利益率の推移をもとに、どうすれば利益率が上がるかを提案します。

この記事を読むメリット

  • 利益率に関する基礎知識がわかる
  • 建設業の利益率の目安がわかる
  • 利益率の上げ方がわかる

それでは、ご覧ください。

利益率とは【計算の方法も解説】

利益率とは、利益の売上に対する割合のことで、主に5種類あります。

売上高総利益率(粗利率)、売上高営業利益率、経常利益率、自己資本利益率(ROE)、総資本利益率(ROA)です。

それぞれの項目を、計算式や建設業の目安値とともにみてみましょう。

売上高総利益率(粗利率)

売上高総利益率とは粗利率とも呼び、商品にどれだけ価値があるかを示します。

中小企業の場合薄利多売がほぼできないので、この数値が高いほど与えてる価値が高いです。

建設業の粗利率の平均値は22.3%となっています。

近年は増加傾向にあります。

売上高営業利益率

売上高営業利益率とは、収益性の良さや経営管理の効率を表します。

会社の実力が如実に現れる数字といっても過言ではありません。

1~5%であればうまくいってると言って良いでしょう。

営業利益率の平均値は4.6%です。近年のオリンピック効果で伸びているのでしょう。

経常利益率

経常利益率とは、本業を含めた利益率です。

いわば企業の基礎体力です。

本業の利益率が悪くても、財テクや本業以外で利益があると経常利益率は上がります。

一般的な企業の平均値は4%程度、優秀でも10%程度です。

建設業の平均的な経常利益率は5.0%になります。少し前までは2%程度だったのて、驚異的な伸びです。

自己資本利益率(ROE)

自己資本利益率とは、自己資本に対してどれだけ純利益を出したかという比率です。

株主が良く使うデータです。

投資家はこのデータを投資効率の指標として使っています。ちなみに自己資本は負債を除いた資本です。

2014年度の自己資本利益率(ROE)は4.13%でした。

近年のデータは取得できませんでしたが、好景気が続いているので伸びているでしょう。

総資本利益率(ROA)

総資本利益率(ROA)とは、総資産に対しての利益率です。

企業の資本をどれだけ効率良く使えているのかを表しています。

総資本は、融資を含めたすべての資本です。

2014年度の総資本利益率(ROA)は-85.03%です。

赤字の企業が多かったことがわかります。

近年のデータは得られませんでしたが、繁忙度を考えると劇的に改善されているのではないでしょうか。

それでは、利益率について基本的な知識がついたところで、利益率毎の推移を見てみましょう。

利益率ごとの推移

利益率には先ほどご紹介した通り、主に5種類あります。

ここでは、粗利率、営業利益率、経常利益率の3つに絞って推移をみていきます。

最初は粗利率の推移から見ていきましょう。

売上高総利益率(粗利率)

参照:建設業情報管理センター

建設業の粗利率は2011年度までは17%ほどで長い間横ばいでしたが、2013年度から右肩上がりになっており、2016年度は21%ほどになっています。

他業種に比べて建設業の粗利率は著しく低いことが見てとれます。

推移も非常に緩やかで、安定してるとも言えるでしょう。

近年は粗利率が製造業費追い付きつつあるようです。

次に、営業利益率の推移を見てみましょう。

売上高営業利益率

参照:建設業情報管理センター

建設業の営業利益率は2011年度までは1.8%ほどで長い間横ばいでしたが、2012年度から右肩上がりになっており、2016年度は4%強になっています。

東日本大震災の影響から復興需要が増大したことや、オリンピックによる工事増により、好条件での受注が可能になった影響でしょう。

最後に経常利益率の推移を見ていきましょう。

経常利益率

参照:建設業情報管理センター

建設業の経常利益率は2011年度までは、営業利益率同様に1.9%ほどで長い間横ばいでしたが、2012年度から右肩上がりになっており、2016年度は5%ほどになっています。

これは上昇傾向にはあるのですが、他の業種と比べるとまだまだ低く、より筋肉質な経営体質になると他の業種に追い付けそうです。

大企業はサービス業に近い経常利益率をたたき出しているので、中小企業も努力しだいでは不可能ではありません。

ここまでは、利益率毎の推移を見てきました。ここからは経営規模ごとの利益率の推移を見てみましょう。

経営規模ごとの利益率の推移(法人企業統計 財務省)

経営規模には主に3つあります。小企業、中企業、大企業の3つです。

それぞれ、小企業は資本金1億未満、中企業は資本金1億~10憶、大企業は資本金10億以上が目安で分類されています。

それでは、小企業、中企業、大企業のそれぞれの営業利益率、粗利率の推移を見てみましょう。

小企業

小企業では粗利率が20%前後をいったりきたりしながら、近年は増加傾向にあります。

一方で営業利益率は1%前後を推移しています。

粗利率の増加に伴い、近年は営業利益率も上昇しており3%を越えるようになりました。

中企業

中企業では粗利率が12%前後を行き来しています。近年は微増傾向にあり、13%ほどです。

小企業に比べて粗利率が非常に低い傾向にあります。

営業利益率は3%前後となっており、小企業に比べて営業利益率は高く推移しています。

大企業

大企業では粗利率は11%前後を推移しており、中小企業に比べて低い値です。

一方で営業利益率は3%を推移しており、近年は4%ほどになっています。

中小企業に比べて高く、利益を出す効率の良い仕組みができているのでしょう。

利益率の上げ方

いままでの結果から、中小企業と大企業では、大企業の方が粗利率が低いのに、営業利益率は大企業の方が高いことがわかりました。

それはなぜかというと、利益を産み出す仕組みが出来上がっているから。

利益を産み出すには、売上を増やすか、利益率を上げるかの2つしかありません。

売上を増やすのは、社員の人数の兼ね合いもあり難しいので、ここでは利益率をあげる2つの方法をご紹介します。

値上げをする

もっとも分かりやすい利益率の上げ方は、値上げをすることです。

値上げをすることで、単純に入ってくる利益が増えます。

これまでは、あまりにも過剰な競争により商品をたたき売りするしかなかったでしょう。

しかし、建設需要が出てきているため、今こそ商品の価値に見合った価格に見直すことができます。

ですが、多くの人たちは値上げに踏み切れません。

商品を売っている自分自身が本来の価値より低く見積もりがちになります。

なぜなら、無理な価格競争により値下げを余儀なくされてきた経験もあり、商品の価値をうまく説明することできていないからです。

無理な価格競争が終わった今、商品の価値を正しく伝える練習をしっかりとすれば、値上げはできます。

施主や元請けに値上げ交渉してみましょう。

交渉するだけなら無料ですから。

ICT機器を導入する

2つ目の手段はICT機器を導入することです。

値上げは入ってくる金額を増やしますが、ICT導入は出ていく金額を減らす手法です。

例えば、工程の変更を周知するのに無駄な時間をかけてしまっている場合は、andpadという施工管理アプリを導入します。

最新の工程表を常に把握でき、電話で何度も確認する手間が省けて残業が減るでしょう。

また、進捗報告なども写真で現場でできるので、わざわざ事務所に戻らなくても良くなります。

このようなICTで解決できる例はたくさんあります。

他に具体的な例を出すと、スマホで最新図面が見れるField Padを導入することで、どれが最新か探さなくてもよくなり、手戻り作業が減ります。無駄な仕事が減り、別な仕事にかかれるようになるので、利益率があがるのです。

多くの問題がICTで解決できるようになってきています。

積極的にICTを導入して利益率を上げましょう。

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まとめ

『建設業の利益ってどれくらいが平均なの?』『利益ってどうやって上げるのだろうか』と悩んでいる方に向けて、利益率とは何か、建設業の利益率の目安はどれくらいか、近年の利益率の推移をもとに、どうすれば利益率が上がるかを提案しました。

建設業の粗利率や営業利益率などは長い間低迷していましたが、近年回復傾向にあります。

記事を参考に、業績が順調なうちに収益体質を強化してくれたら嬉しいです。

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